ここではないどこか

東の京から、今日も大和〈ふるさと〉を思ふ

(雑談)知らないこと

 うちの会社は内装リフォームを手掛けてる『リフォーム部』の他に『不動産部』がある。文字通り、不動産売買や仲介を行っております、主にはこの二本柱でなりたっている。
 リフォーム部は女性しかおらず、不動産部は男性しかいない。何故か。

 不動産部最年少……というか、社内最年少の青年、28歳の「ひらっち」は、11月にパパになる予定。
 つゆこと、リフォーム部最年少のひとみちゃんとひらっちは、若手(つゆこはひらっちと10歳違うが、リフォーム部でつゆこの次に若いのが50歳、不動産部でも40代半ばになるので、まだ若手の部類に入る)同士で割と仲が良い。
 ある時、つゆこがひとみちゃんと残業をしていると、帰りがけにひらっちが「5週目です」とこっそり伝えてきた。
 びっくりしながら、ふたりで祝福した。
 社長や不動産部には話しているようだけど、リフォーム部は多分まだつゆことひとみちゃんしか知らないこと。

 今日はひらっちがこっそり
「分娩予約金払ってきました。10万……」
 と報告してきた。
 分娩予約金。
 そんなのがあるのか!
 出産経験がないつゆこにとって、ひらっちの話はとても興味深い。
 ひらっちは、出産にどのくらいお金がかかるかという総額は知識としてあったが、どのタイミングでいくら必要になるか把握してなかったらしい。
 急な10万の出費は、確かに痛いな……

 「キツイっす……」
 そう呟いたひらっちは、それでもやっぱり嬉しそうにも見えて、多分惚気けてるだけだな、と思った。
「子供が出来たら夫にも育休は取って欲しい方ですか?」
「出産から1か月くらいは妻は実家に帰る予定なんですけど、どのくらいの頻度で行くものでしょうか?」
 ひらっちは真剣に聞いてくるが。

 知らん。

 結婚も出産もしていない、なんなら日本の制度では結婚できない場合もあるつゆこに聞かれても、建設的なアドバイスなんか何も出来んよ!?
 と思いつつ。

 それでも、一生懸命なひらっちは弟のように可愛いのだ。
 知らないこと。
 ひらっちを通して知ること。
 案外、面白い。

 彼がこれから更に大きくなることを期待しつつ、彼が育休を数ヶ月単位で取れたら良いなと思っている。