猫と暮らせば。

君と生きる、この世界で、この家で、君たちと生きていく。

(雑談)葉っぱのフレディ

 『葉っぱのフレディ』という絵本をご存知だろうか。

 カエデの葉っぱの「フレディ」が芽吹いてから散るまでを通して、生命や個性について語りかけるレオ・バスカーリアの著作。

 この絵本を題材にしたミュージカルがある。『Wikipedia』でも『葉っぱのフレディ~いのちの旅~』として2006年に上演された作品に関する記述があるが、私が話したいのはこれではない。こっちは、観たことがないので語れない。

 女優の島田歌穂さんが主演したミュージカルで、調べてみると初演は2000年だった。過去のこの作品を見た方のブログなどを検索してみると、少なくとも2003年までは公演をしていた。私が島田歌穂さんを初めて知った作品だ。高校生の時だった。

 最初は東京で見た。学校見学で上京した時、関西と違ってあちらこちらで演劇をやっている東京という場所で、何かミュージカルがみて見たいと、前情報もなにもなかったくせにお小遣いをはたいて見に行ったのを覚えている。

 翌年、高校卒業して間もなく、大阪でも公演があったため、見に行った。

 

 舞台にはベッドがひとつ。島田歌穂さんが演じる少年「フレディ」は、原因不明の病気に侵されて入院しているが、本人はいたって元気な様子で、早く退院したくて仕方がない。

 そんなフレディに、同じ病院に入院している年上の友人「ダニエル」が、窓の外に見えるカエデの樹の豊かな生命力や葉っぱの個性という魅力を語り、ふたりは葉っぱに自分や友達の名前を付けて四季の移ろいと共に変わりゆく姿を見詰めながら、それぞれの命と向き合っていく物語。

 

 島田歌穂さんは最初から最後まで出ずっぱりで、舞台装置も基本的にはベッドだけ。シンプルな舞台に引き付けられ、美しい音楽に胸が躍り、クライマックスでは涙が止まらなくなった。

 舞台の奥深さを知った作品だったためか、折に触れ今でも時々思い出すことがあった。「嫌だ嫌だ、やだやだ」冒頭のフレディの歌を時々口ずさむ。

 

 先日、ふと、このミュージカルのことが頭をよぎり、何を考えていたわけでもなく"葉っぱのフレディ 島田歌穂”と入力してYahooで検索をかけた。

 本当に、何をしたかったわけでもない。動画を見たいとか、ブログを読みたいとか考えていたわけでもなんでもなかったのだが、検索後の画面にヤフーオークションでこのミュージカルのビデオが販売されているのを見付けてしまった。VHSというやつだ。

 4500円。ぶっちゃけ、ちょっと高い。

 残り2時間。

 まじか。

 このチャンスを逃したら2度と巡り合えない気がして、思わず落札してしまった。

 多分、初演の頃のキャストなのではないかと思う。ダニエル役が畠山久さんという方だった。私が見た時は堀米聡さんがダニエルを演じておられた。

 フレディの両親役は公演の度に代わっていたらしく、父親の職業は役者の雰囲気に合わせて変更されていたのではないかと思う。確か、私が観た時の父親の職業はテニスのインストラクターではなかったと思うので(記憶が曖昧なので違っていたらすみません)。

 

 再生して驚いた。

 18歳の頃に2度見ただけの舞台。その中の楽曲を、かなり鮮明に覚えているのだ。もう、20年近く前に見たきりだというのに。映像に合わせて正確に歌うことができた。

 特に秋の空を病室から眺めながら歌う「出せなかった手紙 紙飛行機」という歌詞が忘れられなかったのだが、その詞を島田さんが口にされた瞬間、震えた。

 それだけ、胸に刺さっていたのだと改めて思い知らされる。

 4500円。高くない。

 最後に、フレディは死を迎える。解りきった物語で、ノイズだらけの古いビデオで泣きはしないだろうと思ったら、まんまと泣かされた。高校生の頃は泣かなかった両親の場面や初恋の場面でも泣いてしまった。子供がいないどころか結婚もしてないのに、両親に感情移入してしまった。

 この作品に出会えて本当に良かったと、心の底から思った。

 

 この文章を書くにあたり、ダニエル役の畠山久さんのことを検索したら、この作品への出演を最後に、2003年に45歳という若さで他界されていたことを知った。

 本当に貴重なVHS。

 この運命のような出逢いにも、心から感謝。